富士山の世界文化遺産について思うこと

  富士山の言い伝えの授業で紙芝居
  富士山の言い伝えの授業で紙芝居

富士山の世界文化遺産決定まで、秒読み段階となりました。

 

私は春に内定した時点から、これがどういうことなのか、考え続けてきました。

もちろん私の大好きな富士山が世界の宝として認められるのは、とてもステキなことです。けれどけれど・・・ニュースを始め、回りの動きをみるにつけ、大きなうねりの渦にアタマがクラクラするようではありました。うちの事務所がある西湖も、その範囲内です。いつもの見慣れた風景が、違って見えるようでした。

 

それがふっと軽くなったのは、地元小学校の「富士山学習」に、5月から関わらせていただいてからでした。

6年生を対象に、「富士山の自然」と「富士山の言い伝え」の授業を2回させていただき、7月はじめには遠足で富士登山に行きます。吉田口の馬返しから5合目の森林限界までを、富士講の歴史を語りながら登る予定です。まさに、丸ごと富士山三昧!です。とてもうれしいこんな機会をくださった学校様、先生方、ありがとうございました。

 

地元を学び、知り、楽しむ!・・・ことにたくさんの時間を割いてくださる先生方の思いは、確実に子供たちに伝わっていると、感じました。

授業では、富士山のいろんな話をするたび、そうか、富士山はああだったんだ、こうだったんだと目を輝かせ、質問が飛び交いました。

 

そしてみんなの質問を受けた後、私からもみんなに質問をしました。

「富士山の世界遺産が内定した時、どう思いましたか?」

 

「うれしかった」「びっくりした」

子供達の生の声です。

 

「ごみがまた増えると思った」

「人が押し寄せたらどうしようと思った」

心配しているのです。私達大人の何十分の一しか生きていない子供達が。

 

けれどそう言いながらも、彼らの目は決して曇ったりはしていませんでした。心配はありながらも、富士山が好きだ、もっと知りたい、楽しみたい!という興味や好奇心の方が強いのでしょう。

そんな彼らを見て、私はとてもうれしくなりました。次代を担うこの子達がいれば、富士山は大丈夫だ!・・・妙な確信さえ生まれたものでした。

 

富士山の世界遺産内定。それは今の世の中に対する、ひとつの試金石かもしれません。いつも凛としてステキな、日本の象徴である富士山が変わるわけではないのですから。当たり前だけど(笑)、富士山はいつだって富士山だし、この子達はいつだってこの子達。そしてこの子達はたくさんのことを吸収して大人になっていくんですね。

 

そんなことを思えた「富士山学習」。7月の富士登山の遠足も、とても楽しみ!

 

子供達からたくさんのものをいただいた授業から、世界遺産にまつわる話でした。